シマカンカーは、ヒジャイナワ(左縄)と呼ばれる注連縄に島豚のチラガー(顔の肉)やミミガー(耳の肉)を挟み込み作ります。
これは、
『もうここには皮しか残っていないから来ないでください』
という意味があるそうで、悪霊に対してのメッセージとのことでした。
今回、与儀自治会にアグーと注連縄などの提供を行った沖縄こどもの国の施設長、高田勝さんは「沖縄県内でも、この行事は残っている地域もあるが中部の中心地、いわゆる都会化された場所でもこのような小さな行事が残っているということが貴重。大切に残していかないといけない。」と話していました。
この日は、集落の入り口にあたる二箇所に注連縄をつるし、それぞれでフーチゲーシ(風気返し)のウガン(祈り)を行いました。
その後、無事に済んだことを与儀集落のウカミヤ(発祥とされる方たちを祀った家)にて報告を行い終了です。のどかな集落を歩くと、懐かしい時間が流れやさしい気持ちになりました。
与儀の集落は、国道329号線沿いから入り隣は比屋根という地区。
近くには小学校も新に開校し、沖縄市内でも人気の住宅地で、最近は新築の家も増え始めてきました。
自治会の方に話を伺うと、もともと地元の人ではなく新しく越してきた人が増えてきたとの事。
こういった行事は、若い人には犬猿されがちですが気軽に飛び込んで、地域のこと、行事のことを気軽に聞いて欲しいと感じました。
また、行事に参加している方たちも高齢の方が多く、若い方の参加が欲しいところだと思います。
昔は、豚肉を食べるのはお祝い事や行事の時や、それ以外だと風邪をひいた時など位しか食べることはなく、ご馳走だったといいます。
冬に行うシマカンカーは、地域の絆を固めこれから来る寒い冬に備え体力をつけまた元気に年を越すという、願いが込められています。こういった生活の中の伝統行事や季節の行事は、大切に残していきたいものだと感じました。
ところで、毎年、このシマカンカーには沖縄こどもの国の協力ので、注連縄の材料となる「稲藁」や今帰仁村のアグー牧場より島豚の提供があります。
沖縄こどもの国では、園内に田んぼを作りそこで沖縄在来の米である「アハガラシー」を育て、収穫し、藁はこういった伝統行事や子ども達の知育に使われています。
また、アハガラシーはボランティアの方によって田植えや収穫も行われており、まさに地域で残す伝統行事ともいえます。その際は、与那国馬に昔ながらの農具を取り付け、お仕事をを手伝ってもらいます。
これは、高田施設長の
「伝統行事は、なるべく昔ながらのモノや材料を使い、本来の意味を後世に伝えたい」という思いがあります。
沖縄こどもの国では、伝統行事や昔ながらの遊びや風習をできるだけ形を変えずに、構成に伝えていくプログラムも行っています。興味のある方は、ホームページなどをチェックしてみてください。
沖縄こどもの国での稲刈りの様子
沖縄こどもの国ホームページ
日本各地でも冬至の時期は、寒さが厳しくなる目安としてゆず湯に入ったり、かぼちゃを食べたりとありますが今年は、旧暦の11月1日が冬至にあたり19年に一度の「朔旦冬至」となりました。
【関連記事】(外部リンク)
琉球新報 2012年1月28日 「金口木舌」
http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-186374-storytopic-12.html
沖縄こどもの国 沖縄魅力発見講座☆荷鞍の荷積み 2014年06月29日
http://okinawakankyo.ti-da.net/e6458576.html
沖縄ニュースあれこれ2012年12月20日 「アグー豚汁で冬に備える@シマカンカー2012」
http://kozakoi.ti-da.net/e4267573.html
沖縄市広報誌 広報おきなわ 2010年1月号 「集落入口に左縄を張り悪疫の侵入を防ぐ
シマカンカー儀礼執り行う-与儀自治会-」
http://www02.bbc.city.okinawa.okinawa.jp/kouhou/H22/02/0201.html